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表紙

55周年記念誌『永遠のテーマ・安全と安心をめざして―
「2002年・製品自主回収」のご報告と新たな取り組みについて』

今回の記念誌は、コンプライアンス第一の経営をしていくという、企業としてのマニフェスト。だから我々の反省と決意を発信するツールとして、単なる文字情報に終わらせず、視覚的な誘導によって、内容を理解していただくことに工夫を凝らしました。

画像をクリックすると中身をご覧いただけます。

A4判36頁(折り込みページ含む)、並製本 2005年2月発行

パイン株式会社 代表取締役社長 上田 豊様・ 開発部企画課課長 広瀬太郎様

50年史に対する55周年記念誌という位置づけですが、実際には両者の発行時期は4年弱しか離れていませんね。

完成社史

広瀬50年史は周年を迎えてから出していますが、55年記念誌は周年を迎える直前に出しているからです。それは記念誌発行のきっかけが、2002年の6月に起きた問題だからで、内容も50周年以降の近年の経営記録というより、問題への対処と、その後3年余りにわたるコンプライアンスの仕組みづくりの記録に絞られているわけです。

2002年6月の問題というのは、アメの製造工程に使っていた油脂に無認可添加物が含まれていることを仕入先から知らされ、新聞に社告を出して全品自主回収した問題ですね。

広瀬そうです。対内的にはそこから立ち直った体験を風化させず、社員の意識に刻むことを、対外的には、今回の経緯について社史を通してお客様に包み隠さず発信することで、以前にも増した信頼が得られることを願って作りました。また、対外的にこういう発信をした以上、我々もごまかせない、安全に対して真面目に取り組むしか道はない! という自戒にもなります。

上田これからは「安全と安心」を第一とするという、いわば企業としてのマニフェスト(宣言)のような位置づけでもあるわけです。

今度は社内も社外も読者対象として意識されたわけですね。事実、50年史とは仕様がガラリと変わりました。

完成社史

広瀬はい、社長からはビジュアルを多用せよという指示をいただきました。それはいかに印象づけるかを考えよ、単なる文字情報に終わらせるな、という指示だと解釈し、見せる、見やすいビジュアルとは何か、ビジュアルを主軸に展開して的確に情報を伝える誌面構成とはどのようなものか、ということに心を砕きました。

その工夫の具体的事例を挙げると、どんな点ですか?

完成社史

広瀬たとえば問題終結までの経過を伝える年表です。ただの年表では見ていただけない。どこがポイントなのかも、私たちが何を反省し、学び、どう対処することにしたのかも判っていただけないだろう。そこで、折り込みの形でワイドに広がるようにして、まんなかに吹き出しを作って問題のポイントを大書したり、私たちがこの体験を通じて気づいた日常の盲点を裏面に書き出して、そこへ視覚的にも誘導するための虫眼鏡のイラストを入れて、真ん中を型抜きしたりしました。

お客様からのお叱りの手紙を真ん中に挟んで、後半には、「そして、そんな声に応えるために」と題し、私たちの安全第一の仕組みづくりと姿勢を伝える安全宣言のページを作りましたが、ここが要なので読みやすく、わかりやすく伝えるにはどういう構成がよいかに腐心しています。

工場の行動規範を、制定に携わった委員会のメンバーの座談会という形で伝えたり、社員の方々の自主的な取り組みを社員アンケートによる一言コメントで入れたりされてますね。

完成社史

広瀬ええ、制作プロセスの面での50年史との一番大きな違いは、すべての社員が関与したということですね。アンケートをとったときでも、その回答に重みがあった。客観視した意見がなく、主観的な意見が多かった。みんな自分自信のこととして真摯に受け止めていることがひしひしと感じられたんです。

そういえば、社長さんは、50年史で「我々は本気やぞ」という気持ちを広げられたからこそ、その後の危機に一丸となって対処できたとおっしゃっておられましたね。

完成社史

上田はい、50年史がなかったら、この記念誌はこれほどインパクトのあるものに結実していなかったでしょう。50年史で企業としてのDNAを明確にし、きっちりと位置づけて、我が社はどこを目指すのかということを確認した直後に、食品メーカーとしての企業哲学を問われる問題が発生した。だから、50年史が企業哲学を示す導入部としたら、記念誌は実際の危機に直面してその哲学をどう実践したのかという具体事例に、巧まずしてなっていると言えます。

反響もかなり大きかったとうかがっています。

完成社史

広瀬反響という表現が正しいのかどうかわかりませんが、産経新聞の記事になったほか、複数の企業から「ぜひ危機管理に活用したいので、数冊譲ってほしい」というご希望がありました。それから「よくここまでお客様の声を公表したね。会社の恥部となる部分を包み隠さず出しているので、一層の信頼感が持てた」というお声も頂戴しています。

学術文献の対象にしたいという要請もあったとか?

上田企業の危機管理を研究されている先生から、そういうご依頼をいただきました。危機に遭遇して、実際にどう対処したか、その体験をそのまま正直にぶつけているので、危機管理の実例としてとてもわかりやすいのだそうです。

狙いどおりの効果があったということでしょうか。

完成社史

上田当然の帰結だとは思っています。別にウチが偉いという意味じゃありません。危機に立ち向かうチャンスに遭遇し、やらせていただいた結果を、目指すべき企業マインドの中へ思い切りぶつけた。それを宣言として発信したわけですから、正しい志をもった方にはきっと私たちの“思い”が伝わると思っていました。だから、その先生に申し上げたんです。先生が我が社をテーマに講演されるときはぜひ呼んでください。社長の私自ら参上して、質問があれば全部お答えしますと。そういうわかっていただける方々と会話しながら、クリエイティブに自分を再生させて、ステージを高めていく、そのための発信でもあるわけですから。

最後に、50周年、55周年と社史を発行されて、社史についてどんな感想を持たれたかうかがわせてください。

広瀬私は記念誌のほうだけに携わったんですが、この制作は我々社員の決意を不変に維持していく上で、とても大切なことだったと思っています。好評という結果は、その延長線上に生まれただけだと思っています。

上田社史研究家の村橋さんもおっしゃっていますが、社史の発刊というのは業界活動、ひいては日本の経済活動に貢献する活動だと改めて思いました。個々の社史には会社の歴史だけでなく、その背景となる社会や経済の動向が書かれることになります。つまり、企業倫理がどうのこうのという抽象概念ばかりでなく、実際に企業がそれらの社会・経済局面にどう対処し乗り切っていったかという具体例の集積であるわけですから。できれば5年に1回のペースで作っていこうかと思っています。

ありがとうございました

■パイン株式会社 プロフィール

「愛され続けて50有余年」のパインアメで有名。「お客様の安全・安心をめざして」をモットーに躍進を続けるキャンディのメーカー。

http://www.pine.co.jp/

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