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表紙


『50周年記念誌 ~50年 時の流れ~』

CD(トールケース入)、2009年5月1日発行


自分たちの仕事の歴史的、社会的位置付けを見つめ直すため、
「社員による、社員のための、社員の記念誌」を制作しました。

三和エレクトロニクス株式会社 技師長 田中 昭夫 様

50周年記念誌を書籍ではなくCDにまとめられました。

完成社史

弊社では過去には年1回社内誌を制作し、5年、15年等の節目には特集記事を掲載してきましたが、書籍の社史を作ったことはありません。2008年9月、50周年で記念誌を制作することが決まり、まず考えたのが制作時間です。間接部門のスタッフが少ない上、忙しい時期で通常業務以外の作業に割ける時間は少なく、記念行事前の完成を目指すには期間も十分ありません。そこで考えたのがhtmlです。これを用いれば全体のページ数、レイアウト、文字数に制限がないなど編集が容易で自由度がかなり高い。しかもプレス直前まで修正可能で増刷も容易である等の理由で記念誌をデジタル化することにしました。

編集コンセプトは「社員による、社員のための、社員の記念誌」ですね。

完成社史

創立50周年を迎えるに当たり、得意先に配れる社史を制作しアピールしたいという思いがありました。一方で過去を振り返ると順調に今に至ったわけではなく、相当困難な経営状況の危機を乗り越えてきており、外向けに社史を出すのはどうかとの意見も出ました。とはいえ50周年を迎えられたことは事実です。過去の苦しい時期を先人たちはどうやって切り抜けてきたのかといった足跡をまとめて残し、その上で現在の自分たちの業界における位置付けを知ることは、社員が将来に向けてベクトルを合わせる良い機会になるとの確信がありました。厳しい状況の中で50周年を迎えられたのは、お得意様、協力会社様のおかげであり、社員はそれを再認識することが何より大事だとも考えました。そこで、自分たちの足跡をみつめ直していることを社内外に対して明確にするため、社内向けの記念誌を念頭に置き、社員が知りたい、作りたいものを作ることに努めたわけです。お得意様、協力会社様向けには非公開資料を削ったバージョンを別に用意しました。

記念誌制作決定は発刊9カ月前だったそうですね。

完成社史

当社では毎年創立記念日に社員が集まってパーティーを行っており、50周年で社員のために何をすべきかについては早い段階から経営会議の議題になっていたのですが、議論百出でなかなか進捗しません。そこで実際に何ができるのかを考えるため、発刊準備に向けた検討チームを結成しました。世間の社史に関する動向などを探ってみると、厳しい時期を乗り越え、再出発した企業でも社史を制作していることがわかって制作に向け意向が固まりました。構成案などを作成して検討した結果、50周年事業における予算配分が決まり、本格的に着手したのが発刊9カ月前だったというわけです。

編纂メンバーはどのように決められたのですか。

検討チームは役員を含む管理職5名によるもので経営会議において選任されました。編集実務を担うメンバー7名は各部からの推薦です。若手社員に加わってもらいたいと考えていましたが、特に指定はしませんでした。結果的に男性4人、女性3人、社歴では新人2人、中堅4人、ベテラン1人と平均化されたメンバー構成になりました。

周年記念日は5月1日ですが、3月末完成を目指して制作進行されたようですね。

5月初めはゴールデンウィークで会社が休みになることもあり、創立記念パーティーは例年4月下旬に行っています。その時までに記念CDが関係者の手にわたるようにしたいと考え、社員配布を遅くとも4月中旬、完成を4月上旬と設定しました。作業が遅れることは予想していましたし、修正なども入るだろうと考え、まずは3月末完成を目標にスタートしたのです。

本編「三和Memory」は企画が盛りだくさんです。

完成社史

実務者チームは過去の資料を可能な限り集めるところからまず始めました。集まった資料を見ながら先輩社員たちはどのような活動をしてきたかを分類し、より多くの社員が何らかの形で記念誌制作に関わるにはテーマを広げるのがいいのではないかと考え、このようなバラエティに富んだ構成になりました。狙い通りほぼ全員が携わる結果になって喜んでいます。

制作は当初のイメージ通りに進みましたか?

完成社史

デザイン案は全員で意見を出し合いましたが、チームの中にhtmlに詳しい人が少なく、原稿やアイデアをhtml化する技術に制約があり、動画やリンクのアイデアを実現するのに苦労しました。終盤には役割分担を多少変更し、作業できる者が集中して取り組みましたが、結果的に思い通りに具体化するだけの時間がなかったのが残念です。極力社員のアイデアで創ることを目指しましたが、パッケージやトップページ、社外の人が見る主要項目や目次は社員だけでは限界があるため、予算の範囲内で外注することに決めていました。社内制作分と外注分がうまく整合性が取れるか不安はありましたし、実際、制作会社の案が大変良くてそれを採用するという意見も出ましたが、最終的には実務者の意見を尊重することにしました。我々のイメージを理解してもらえ、プロのアイデアをマイナーチェンジすることで実現できてよかったと思っています。

制作にあたって最も重要視されたことは何でしょうか。

完成社史

弊社の事業は、公共事業にかかわりかつ先端技術を必要とする関係上、企業秘密の制約がかなりあります。そのため社員は自分がどういう仕事を担っているのか十分に意識していない、あるいは他部門の業務がわからず視野が狭くなりがちです。私たちの作る製品は社会の動向に大きく影響され、将来もそれによって決まるといっても過言ではありません。そこで製品がどのような背景、経緯で開発されたのか、どんな技術を用いてどのような人々が携わって作られてきたのか、自分の仕事が歴史的、社会的にどういった位置付けにあるのか、そういったことをさまざまな活動を通して理解できることを目指しました。
また、原稿作成、資料集め、写真類の提供だけでなく原稿への意見をもらうなど、一人でも多くの社員が何らかの形で制作に加わることに配慮しました。

社歌の楽譜など資料類はオリジナルをそのままデータとして取り込んでおられますね。

完成社史

作り直す時間的余裕がなかったこともありますが、資料としても活用できるよう、過去の記念誌などもすべてデータ化して収容しました。個人情報を削除するだけでオリジナルのまま掲載しようと考えたわけですが、実際にはこの削除作業に思いのほか時間がかかって大変でしたね。

制作にあたってほかに苦労されたことはありますか?

例年になく業務の多い年でしたので、作業の時間を取ること自体がかなり難しい状況でした。そのためテーマごとに3~4名によるサブチームを作り、そこで集まって作業し、その進捗状況を掲示し、他のサブチームもそれがわかるようにして進めました。電子化のメリットはデータが共有できることです。多くの人からチェックを受けられ、意見交換もできました。
集めた資料が膨大で、社員が知らない資料も出てきたりしてまとめるのには苦労しましたが、予想以上に資料が集まったので、今回使用しなかったものはすべて補助資料として電子化し保存しています。

どのようなところに配布されましたか? また配布後の内外の反響はいかがですか?

お得意先の関係者さんや協力会社様、社員、OBに配布しました。お客様などからは社内でよくここまでまとめられましたねといっていただきましたが、一番喜んだのは社員ですね。若手から中堅の社員は知らないことがたくさん書かれていたと感激した人も多かったようです。制作に携わったメンバーは他の社員から誉められて嬉しそうでしたし、自身も携われてよかったと話していました。

社員教育にはどのような形で利用されておられますか?

完成社史

弊社は新入社員教育として会社案内を作成するという課題が毎年与えられます。作るためには会社の歴史や現況を調べ、社員にインタビューし、情報を集めて会社の事を深く知る必要があり、自分の位置付けを見出すいい機会になっていると思います。今回制作した50周年記念誌は最初に見せてしまうとプラスにはなりませんから、どのように使うかは今後試行錯誤していきたいと考えています。

これから社史を担当される方にアドバイスがありましたらお願いいたします。

電子ブックで見られる社史が多くなりつつある中、「50周年記念CD」と称していても電子ブック化しておらず、内容的にも世間一般の社史とは少し違うものなので参考にならないかもしれません。ただhtmlを用いれば、形にとらわれず、ページ数や字数、字の大きさなど制約なく自由に作ることができます。社史を制作するのが大変だ、時間がなくてとてもできないと思われる方は選択肢のひとつとして考えられてはいかがでしょうか。

お忙しいところありがとうございました。

■三和エレクトロニクス株式会社・プロフィール
航空保安管制システム関連機器の設計・生産で培った専門技術力をベースに、次世代保安管制機器、鉄道案内表示機器、計測試験機、超音波応用機器、コンピューターおよび周辺端末機器などの設計・生産・販売を手掛ける。高度なハード・ソフト技術に加え、先端技術の研鑽、生産革新によってニーズに即応した製品づくりを目指している。

http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~SEC/

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