こぼれ話 編集プロセスを社内の活性化につなげる
編集プロセスを社内の活性化につなげる
よく"社員に読まれる社史"を作りたい、というご相談を受けます。この命題を見事にクリアしたものとして忘れられないのが、F社の20周年記念誌です。
同社が採った方法は、一言でいうと「社員参加型の社史づくり」です。各職場から年齢・性別を散らす形で代表者を集めた編集担当者10人のチームがミーティングを重ねて企画をまとめていきました。基本コンセプトは「できるだけ多くの社員が参加できるもの、自分たちも楽しめるもの」で、「社史とはこうあるべきだ、という先入観念にとらわれない発想」で作ろうという大胆なものでした。
経営トップの方々が務められた編集会議の議長、副議長が、若手・中堅社員の自由な発想に任せておられたのもまた印象的でした。
「自由に作らせて、責任はとる」というこの姿勢が、成功をもたらした要因でもあります。こうして出来上がった記念誌は「社史」「資源・環境問題への取組み」「会社紹介」「未来へのメッセージ」の4部構成。 「社史」のスペースは全体の3分の1で、ほぼ同じ分量が「会社紹介」に割かれています。参加型企画だけに、やはりこのページが目を引きます。進化・創造・自由・先進性などをキーワードに、「従業員の活き活きとしたパワー、人間性を表現する」という編集意図が十分に生かされ、社外の人間が見ても思わず引き込まれる楽しい企画になっています。社内に好評をもって迎えられたのは言うまでもありません。
この事例の最大のポイントは、編集プロセス自体も社内の活性化につながっていることです。長い編集期間を通じて、さまざまな対立や葛藤があったとか。しかし、その結果として社内の風通しがよくなり、横の連携もとれるようになりました。そして、その成果は記念誌にハッキリと現れ、社外に配っても"活気に溢れ、創造性豊かな会社"というPR効果を発揮しているのです。
その証拠に、F社のこの記念誌は、発刊から3年以上経た現在でも、当社に社史見本を見に来られたお客様に人気の高い1冊となっています。
(企画営業担当 吉田武志)