こぼれ話 社史への“社員参加”促す組織運営

社史への“社員参加”促す組織運営

社史の編集では、資料や写真の収集といった基礎段階から、社内各部署の協力が不可欠となります。さらに進んで、取材や原稿の作成・チェックの段階ともなれば、部署間の意見調整も必要です。

実は、これらの過程に、各部署からの代表者や協力者が、どれだけ前向きに“参加”するかで、社史の内容の充実度も、社史製作がもたらす社内活性化効果も大きく違ってきます。

とはいえ、日常業務に追われる中での社史への積極的関与は、要請される側も、する側も、実は気が重い……。それをいかに自主的で前向きな方向へもっていくかという配慮で忘れられないのが、プラスチック用品・素材メーカーのK社でした。同社の編集組織は、元役員を委員長に各部署代表10名と若手1名で構成される編集委員会でした。

このうち、委員長と若手の社員が実質的な事務局で、他の委員はいわば協力委員的な扱いとしたのが、同社の工夫です。年表の作成では、事務局がまず一般年表を作成して各委員に配り、部署ごとの出来事年表を作成してもらい、これを全体の年表に落とし込むという作業方法がとられました。
この年表に基づく取材の手配は事務局が直接行いました。次の委員の出番は1次原稿のチェックで、その結果は事務局が部署ごとに個々に聴取し再取材や修正の手配をしました。

この方法により、12名の委員会の招集という段取りがなく、各部署の都合に合わせたスケジューリングができました。

こうした場合に問題となるのが、部署間の意見調整と、最終的な意思決定ですが、これは事務局と社長・専務による会議で決定されていきました。ここで指摘された追加・変更事項が各部署にフィードバックされ、追加資料の提出や再取材が行われるという仕組みです。
部署間のスケジュール調整が必要ないばかりか、役員の意思決定というお墨付きも加わって、各委員が対応しやすくなったわけです。

一般的な社史編集組織の形態とは少し異なるこの方法は、どの会社にも当てはまるとは限りませんが、社風を熟知した元役員の委員長が考案した“参加”を促す組織運営として貴重な参考事例だと思います。
(企画営業担当 吉田武志)

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