こぼれ話 10年ごとに作る社史

10年ごとに作る社史

■社史の発行サイクル

よく「社史というのは何年ごとに作るものですか?」という質問を受けます。これは特に決まりがあるわけではありませんが、10年〜20年サイクルで、作られる例が多いようです。

神宮建立技術の継承を兼ねた伊勢神宮の遷宮のサイクルは天武天皇の時代から20年と決められているそうですが、技術や思想の継承を円滑に行うためには、このぐらいのスパンで行うのが自然で無理がないということでしょう。

一方、10年ごとに作られる例では、それだけの頻度で記録を残せば資料の散逸に悩まされる心配がないといった実際的な動機もさることながら、一回ごとの情報密度を高くできるというメリットを活かして内容を工夫されているお客様が少なくありません。今回は、その典型例をご紹介しましょう。

■通史は全320ページ中の12ページ

専門工事業のG社は、40年史の編纂以降、10年ごとに社史を編纂してこられました。最初の40年史こそ通史でしたが、それ以降は近10年史中心の内容で作ってこられました。

当社が制作のお手伝いをしたのは80年史でした。それまでは内部で編集しておられましたが、社内の手間の軽減と、毎年複雑化する内容を要領よくまとめるノウハウを求めて、編集の外注に踏み切られたものです。

この80年史は最終的に全320ページにまとまりましたが、通史に割かれたのはわずか12ページ、全体の5%弱でした。残りはすべて近10年の記録。中でも紙数を費やしたのが主な工事の記録で、これだけで120ページを超えました。

■社員と家族に待たれる社史

同社が工事記録を重視する理由のひとつは、特殊な工事分野ならではの装置や機材の開発と、その実地使用の記録を残すことです。同社にとっては、これだけでも10年ごとに社史を編纂する意義があるのです。 そして、もうひとつの理由は、山間部など僻地の工事現場で家族と離れて働く従業員の方々の悲喜こもごものエピソードを記録し、ご家族の方々にも伝えることです。

熊や猪との遭遇といった自然の猛威との闘いもあれば、地元の町へのお礼に、地上170mの岩盤にケーブルを渡して鯉のぼり150匹を泳がせた心温まるエピソードもあります。注文してから2時間も待たせるのんびりした離島の食堂の話や地元の方々との仮装運動会など笑えるエピソードも少なくありません。

こうした社史は、いわば社員とその家族に待たれる社史です。とても幸せな書物だと思わずにはいられません。
(企画営業担当 畑 嘉広)

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