探しものは何ですか?
社史担当者は最初に他社の社史を研究しながら、社史刊行の目的やどんなタイプの社史にするか、また予算や日程などを勘案してシミュレーションをされます。そして、自社の社史にはどのような情報が必要かをある程度つかまれます。
情報探索の旅でまず大切なのは、「どんな情報が欲しいか? 必要か?」をはっきりさせることです。同時に、自分の周辺で容易に収集できる情報にはどんなものがあるか、何が不足しているかを見極めることです。そのためには、自分の記憶、社内報や各種の文書、それに声をかけやすい先輩や上司などから集めた情報を年代別、項目別に整理してみると、不足している情報、欲しい情報、ぜひ必要な情報がはっきりしてきます。
そのようにして探したい情報の中身がはっきりしてきたら、さっそく情報探索の旅に出発しましょう。この場合、近くから遠くへ、社内から社外へ…が鉄則です。
1.データを当たる
ここでいうデータとは、文書としてまとめられたものを指します。
会社の設立登記簿、各種議事録、会計関係書類、営業報告書、アニュアルレポート、諸届け書類、就業規則等の規約や規則類、通達文書、社内報、社員手帳、会社案内、各種パンフレットやカタログなどなど、企業によっては実にさまざまなものが残されているはずです。その他、社内キャンペーンのポスターや標語、スローガン、掲示板に張り出されたものなど多岐にわたっているものと思われます。
とくに、売上高・利益・従業員数推移、会社が位置する業界の動向などは会社の動きを端的に表します。
2.人にアプローチする
“人”は会社の歴史を作った主役であり、同時に最大の情報源でもあります。ただし、人から得る情報の場合は記憶に頼ることも多く、記憶違いや勘違いといったことも起こりますがそのことは後で検証することにして、とりあえず収集してみましょう。この時に注意したいのは、相手の方が「自分は何について話せばいいか」よく分かるように事前に関連資料を渡すなど、取材の目的をはっきりさせておくことです。また一回だけのアプローチで終わらずに、疑問点があれば何度でも聞くことが大切です。
社内
会社の舵取りをしてこられたのは、なんといっても経営に携わられた方々です。会長、社長、取締役などの役員、あるいは工場長とか支社長のような責任ある立場におられた方々は、会社の重要な出来事の節目節目で関与されていることが多く、その方たちの証言は社史編纂にとって重要な役割を果たします。
古参社員の中にはたいてい、会社や職場の生き字引と呼ばれる方がいるものです。そういった方々からは、経営陣とは違った視点での証言が得られます。また、中堅社員や比較的新しい社員、女子社員の場合にも、他社との比較などその人たち独自の見方で会社を見ていることがありますから軽視できません。
労働組合がある企業の場合、組合をリードしてこられた方たちからも貴重な証言が得られます。
創業者や創業以来の役員の家族からは、創業前後の逸話などを聞けることが少なくありません。また、一般の社員でも家族ぐるみの行事、あるいは個人的なお付き合いを通じてインフォーマルな、また人間的な証言を得られることがあります。
円満に退社されたOBの方々の協力を仰ぐことは、社史づくりに欠かせない大事な要素です。
社外
古くから会社に出入りしておられる業者さんの中には、会社の人が顔負けするくらい会社の事情に詳しい人がいます。比較的冷静に、また他社と比較しながら会社を見ておられることが多く、客観的な証言を聞くことができます。
各種の団体、協会、組合なども、大切な情報源です。
共同で行事を行ったり活動をしてこられ、その地域と深い関わりを持った企業の場合は第三者としての証言を聞くことができます。
製造品目あるいは取り扱い品目によっては、お客様の立場からの意見・要望を聞くことができます。
3.現場に足を運ぶ
昔から、百聞は一見にしかず…と言います。机上で考えるだけでなく、他の事業所(工場、営業所)や関係会社、協力会社、お取引先等にもどんどん足を運んでみましょう。その人たちは認識していなくても、社史の担当者にとっては貴重な情報となる資料が発掘できる可能性も十分にあります。また、日頃耳にすることのない声を聞くことで意外なことを発見できるかもしれません。このことは、退職されたOBの方への対応にも当てはまります。
4.アンケートを利用する
ある特定のことに対する社員の意識や企業イメージ、あるいは社員にとってどんなことが印象に残っているかといったようなことを知るのに有効な手段です。必要に応じて社外の人にお願いすることも可能です。ただしこの場合は、何を知りたいかはっきりと決めたうえで実施しないと、中身の薄いものになりがちです。
5.社外の機関に当たる
どうしても社内で入手できない情報の場合は、社外の情報源を活用します。
大手の新聞社、雑誌社、テレビなどのいわゆるマスコミはもちろん、各業界新聞、専門雑誌をはじめ、官公庁、図書館、博物館、郷土資料館、学校、研究機関、フォトエージェンシー、郷土史家など社外にも情報源は豊富にあります。ただこの場合は、手続き等を事前に問い合わせておきましょう。
新聞記事を日時やできごとで検索して調べたり、ニュース記事の転載、写真の借用といったことは日常的に利用されています。
また書店に行くと、「○○の情報源」とか「□□事典」といった出版物も多く、どのようなものがどこにあるか比較的容易に調べられるようになっています。
とくに最近では、インターネットの発達によって電子メールを利用したり、ホームページを活用することで“座して情報を得る”ことができるようになっています。とくに、GDPや輸出入動向といった統計的なデータは比較的容易に入手できます。フルに活用すれば、時間や経費を大幅に節約することができます。
インターネットによる主要政府機関へのアクセスを試してみることにします。ここでは、企業に関係の深い経済産業省へアクセスしてみました。 経済産業省のアドレスはhttp://www.meti.go.jp/です。アクセスしてみると[報道発表、トピックス、審議会、会見・スピーチ、白書・報告書、統計]といった内容が表示されます。そこで[白書・報告書]を選んでその資料カテゴリ[白書、審議会報告書、各種報告書、過去の白書・報告書]から[白書]を選び、「平成11年度版通商白書」を選ぶとこのような目次が得られます。 また、YAHOOやGOOなどのサイトでは[&検索]ができ、そこで検索できなくてもリンクされている他のサイトに移ることができますから、利用する側にとっては非常に便利になっています。
内閣府 | http://www.cao.go.jp/ |
国立国会図書館 | http://www.ndl.go.jp/ |
通商産業省 | http://www.meti.go.jp/ |
中小企業庁 | http://www.chusho.meti.go.jp/ |
国土交通省 | http://www.mlit.go.jp/ |
地域経済動向(内閣府) | http://www.esri.go.jp/ |
消費者動向調査(内閣府) |
http://www.esri.cao.go.jp/ |
国内総生産(GDP)(内閣府) | http://www.esri.cao.go.jp/ |
統計情報(総務省 統計局) | http://www.stat.go.jp/ |
完全失業率(総務省 統計局) | http://www.stat.go.jp/ |
基礎統計資料(国土交通省) | http://www.mlit.go.jp/statistics/details/ |
東京商工リサーチ経営者情報 | http://business.nifty.com/gsh/QTSK/ |
読売人物データベース(読売新聞社) | http://business.nifty.com/gsh/QYNJ/ |
Yahoo! JAPAN | http://www.yahoo.co.jp/ |
http://www.google.co.jp/ |