こぼれ話 作り方次第で立派な戦略ツールに

作り方次第で立派な戦略ツールに

社史は取引先にも社員にも配るもの。中味も社外向け記事と、社内向け記事の混載になりやすい。事業紹介で始まる口絵の後半が、社内旅行の記録だったりするのが典型的な例。いわば社史の宿命のようなもので、ある程度はやむを得ない。だが、どちらか一方に主眼を置いて先鋭的な編集を行えば、社史は記念品から、戦略ツールに変身する。

周年を機に株式上場、本社新築と拡大策に出たA社の社史はPRに的を絞った編集。口絵は上場時の株主向け冊子と同じ構成の事業紹介。資料編の後半は製品カタログ。経営トップと識者の記念対談は、発行直後に行われる自治体主催の企業活性化イベントに合わせたテーマ設定。ここまでくれば立派な営業ツールである。

一方、B社は各部署から若手社員を集めて編集委員会を作り、彼らに企画を委ねた。自主性を保証されただけに、委員会はアイデア続出。結果、後半は社員アンケート、ユニークな趣味人の紹介、ワークスタイル紹介など、多彩な社員向け企画という構成になった。「社内で熱心に読まれる社史」に仕上がったのは言うまでもない。同社の場合、社史の制作プロセスからして既に、社内活性化イベントであったといえる。

要は作り方次第。両社の事例を目の当たりにして、周年記念事業や、その一環としての社史の利用価値の高さを、改めて実感した。(T・Y)

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