年史発刊のタイミングについて

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社史、年史の発刊タイミングについて、よく言われるのが「10年では出さない」「55年では中途半端」と言った意見です。 実際のところはどうなのか、弊社の既存発刊社史数と、神奈川県立川崎図書館が所蔵する社史を、検索機能を利用して調べてみました。

まず、弊社の場合、発刊のほぼ半数が50年史という結果になりました。これには理由があり、戦後すぐのベビーブーム同様、株式会社の設立が1950年代、1960年代に相次ぎました。そのころ創業された会社の創業者の方々が、この10年で引退される時期を迎えたことと、社史が多く発刊されたことは無関係ではありません。

弊社で発刊した社史の発刊年度別分布図

それに対して、川崎図書館の蔵書は、文献保護としての意味合いが強く、発刊された社史をまんべんなく集めているということもあり、分布の偏りは少なくなっています。けれども、こちらの検索結果は、検索方法により点数が大きく変わるため、傾向として確認するよりほかはありません。中には、タイトル自体に年史という文字を含まないものも多く、正確な点数を反映しているとはいえませんので、あくまでも参考資料とお考えください。

県立川崎図書館の蔵書検索にて、社史の発刊年度別分布図

両者に共通していますのは、やはり「30年史」「50年史」「100年史」が多いという点です。
これに関しては、推論が成り立ちます。

30年史

まず、30年。
これは、例えば30代で起業された創業者の方が60代になっているということであり、創業者から次の経営者への社長交代の時期と考えられます。つまり、次代への経営継承を睨み、これまでの活動の記録をまとめる必要性を感じられての発刊を意味しています。実際に弊社で刊行されています30年史ではそう言ったお客様のお声を聞くこともあります。「企業30年説」というのがありますが、1つの業種がおこって、発展し、安定期の後に衰退期に入る期間が多くの場合、30年ということです。これとも関連があると思われます。

50年史

50年については、やはり区切りのよさ、それと仮に30年で社長交代を経た企業であっても、創業者が存命という可能性もあり、創業からの歴史を残すには最適のチャンスであるといえます。OB、OGの方々の貴重な意見を聞けるチャンスもあり、やはりこの時期に一度歴史をまとめようという声が多いのも頷けます。

100年史

100年に関しては、やはり1世紀という歴史の重みを重要な局面と捉え、資料整理だけでなく、社内のモチベーションアップ、社外PRを狙って作られるものが多くあります。人生において喜寿や米寿が一人に一回しか訪れないように、企業にとっても100年はたった一度のイベントです。100年永続したということだけでも素晴らしいことですので、これを祝うという意味合いで、多くの企業が100年史を出版しています。

とはいえ、弊社のデータでも、川崎図書館のデータでも、「10年」や「55年」といった時期に発刊するケースが0ということはなく、多くの会社で年史がつくられています。 会社企業というのは、それぞれで業態が違いますし、もちろんその弱み・強みも大きく異なります。ですので、それぞれの経営判断に基づいた発刊時期というのが、結論としては、正しい発刊時期であるとも言えます。

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