業界社史の研究 5. 労働組合編

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発刊の目的も多様に

労働組合でも年史・記念誌が発刊されるが、その目的は企業・団体と大差はない。

目的の筆頭は、やはり「資料の保存」「温故知新」であろう。特に歴史の長い労組では、昭和30〜50年ごろにかけての様々な闘争や、賃上げ・時短などに関してどのように権利を勝ち取ってきたかが記述のポイントになる。

最近は「労組ばなれ」の風潮のせいか、「労組の存在価値」を歴史とからめてわかりやすく説くものも出てきている。その場合は、闘争の歴史よりも、福利厚生や共済制度などの記述に焦点が当てられることになる。

内容の変化にともなって、マンガによる表現や、CD-ROM版なども出てきている。

歴史中心の口絵

労働組合史でも年史に口絵を入れるケースは多い。ここで参考にした7組合の年史のうち、5点はカラーの8〜16頁で構成、2点は省略されている。  

内容は写真と発刊のことば、上部団体や会社からの祝辞が大半である。使用写真は、組合のシンボルマーク、組合旗、看板、組合事務所(内外)、それに定期大会や記念式典、メーデー参加、ストの模様、親睦行事を含めた組合の歴史が中心である。

項目 A B C D E F G
年表
組合員数推移
歴代役員名簿
組合組織図
協定書・規約類
賃金・賃上額推移
一時金推移
組合員名簿

個性があらわれる資料編

上の表の項目名は各労組の表現の違いを、分かりやすいようにある程度集約した。

B・C労組では、この他に会社の資本金推移、売上高推移を掲載してあり、とくにD労組では経常利益の推移も掲載されている。 歴代役員名簿は全労組が掲載しているが、本部のみのところや支部役員まで含めたところなどその細目は各労組各様である。

この他各労組の業種の違い等によって、労使関係運営図、社員数推移、本部・支部所在地一覧、組合員の労務構成(男女別人数、平均年齢、勤続年数)、共済年金・退職金表等の項目がみられる。

 

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