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表紙

『株式会社上組百五十年史』
A4判 392頁 上製本 2018年4月発行

『軌―わだち― 株式会社上組150年小史』
A4判 64頁 並製本 2018年10月発行

150年にわたる歴史の重みをきっちりと記録する正史と、読みやすく親しみやすい社員向けの普及版。2種類の社史を通して、今日まで幾多の苦難を乗り越えて挑戦を続けてきた先達の気概や精神を伝えるとともに、未来への展望を共有し、次世代を担う社員に指針を示すことをめざしました。

株式会社上組
社史編纂チーム一同

■社史制作全般について

『株式会社上組百五十年史』(以下、正史)と『軌―わだち― 株式会社上組150年小史』(以下、普及版)の2冊を制作された理由について、お聞かせください。

まず、当社の歴史を史実に基づき精緻に記録するにあたって、相応のページ数を割き、150年の歴史を遺すにふさわしい、格式ある社史にしたいとの思いがあり、「正史」を制作しました。一方で、あまりに長大な社史では、読み通すのが難しいため、もう一冊、社員に読み込んでもらえる「普及版」を用意することにしました。

これら2冊は、ページ数だけでなく、内容や紙面構成、装丁なども全く違うものとなっていますね。

百五十年史
百五十年史

正史では、沿革編は既刊の社史(120年史)を圧縮した120年史ダイジェストと、近30年史の二本立ての構成としました。特に近30年の経営と事業については、経営史、部門史、支店・子会社史という3つのパートに分け、複数の視点から会社の歴史をまとめました。これら沿革編を中心に、各種経営数値や年表をまとめた資料編を加え、当社の歩みを392頁にわたって詳細に記録しました。

一方、普及版では、会社の沿革をコンパクトに記しつつも、単なる正史の圧縮版にはならないようにしました。具体的なプロジェクトに焦点を当て、社員の挑戦と努力を伝えた特集記事や社員の働く姿を撮影した企画ページなど、社員に読んでもらう工夫を数多く盛り込みました。

正史と普及版は、どういった順序でどれくらいの期間をかけて製作されたのでしょうか。

2年弱を費やして正史を完成させた後で、普及版の制作に本格的に取り掛かりました。先に正史を制作したことで、会社の歴史の中で大事なポイントははっきりと見えていたので、歴史をわかりやすくコンパクトにまとめる作業は円滑に進みました。このため、普及版では6か月という短い制作期間の中でも、内容だけでなく、見せ方にも工夫を凝らすことができました。

どのような体制で臨まれましたか。

社史編纂チームとしては、正史は中心メンバーの3名と写真収集などを担当する2名、普及版は正史を担当した3名に、正史とは目先を変えるために広報を担当していた社員も加えた4名で取り組みました。社史編纂というと、定年を控えた社歴の長い社員が担当するものというイメージがあったので、メンバー全員が30代という若いチームで、当初は不安もありました。しかし実際には、これまでに発刊した社史や社内報などの資料を参照しながら、適宜社内調整を重ね、関係者の協力を仰ぎ、問題なく編纂作業を進めることができました。

編纂チーム以外の社内の協力体制はどのようだったのでしょうか。

取材や原稿のチェックなどにおいて、関係各所との連携は欠かせませんでした。当社は全国に支店や営業所などがあり、業容も多岐にわたるため、各事業所の管理部門の担当者を窓口とすることによって、編纂チームとそれぞれの部門や分野の関係者とが協力し合う体制をつくることができました。

他の業務と兼務しながらの制作ということで、どのように工夫して進められたのでしょうか。

部内での協力を得て、社史制作が山場を迎えた際にはこちらを優先させてもらいました。株主総会前など、どうしても社史制作に取り組めない時期もありましたが、事前にこれらを考慮して、メリハリのあるスケジュールで進行しました。

■内容について

正史の制作において、最も心血を注がれたのはどのようなところでしょうか。

50年史 挿絵

沿革編の中の「部門史」です。当社の業務は港湾での荷役から周辺の業務に広がり、それに伴って組織も分かれていきました。現在の事業は、大きく輸入・青果、港運、重量・エネルギー・建設機工、鉄鋼・構内、国際物流、海外、不動産に分かれており、これらは事業本部として集約されるものばかりでなく、会社の拡大とともに各事業所に分散されています。加えて、事業所ごとに独自に発展した部分も大きかったので、全体を体系的に把握するには各事業本部・支店に取材を重ねるほかなく、モザイク画のようになってしまいそうな個々の話を、一つの歴史として紡ぐ作業に大変苦慮しました。

一方で、当社は各支店の独立性が高いので、これについては「支店史」としてまとめました。部門史を縦糸、支店史を緯糸とすることによって、当社の事業の歴史を過不足なく編纂することができたと思います。

普及版の制作において、最も重視したのはどのようなことですか。

正史との差別化に留意し、社員のための社史ということで、なるべく親近感をもって読んでもらえるように、「人」にスポットライトを当てるよう努力しました。同じ会社で働いていても知らない人が多いため、ともに働く仲間の存在を感じてもらうことをめざしたものの、全員が登場することは現実的に困難でした。そこで、マスとしての社員ではなく、一人ひとりの社員にフォーカスし、そこから上組という会社が浮かび上がってくることを狙いました。

「人」にスポットライトを当てた内容というのは、具体的にどのようなことでしょうか。

50年史 挿絵

正史では掘り下げられなかった仔細な経緯や、関係者の証言などを織り交ぜ、臨場感のある文体と、ビジュアル的に映えるデザインで、当社の特長がよく表れた5つのトピックの特集記事をまとめました。このほかに、企画ページとして、現場やオフィス内で社員の働く姿を収めた写真や社員アンケートを掲載しました。

また、掲載内容だけでなく、実際の制作にあたっても、社員が活躍しています。表紙のタイトルと写真は、社員が特技を生かしてそれぞれ揮毫、撮影し、クレジットも記載しました。こういった意味でも、「人」が見える社史になったと思います。

■社史制作を振り返って

刊行後の反響や、現在の活用についてお聞かせください。

正史は主要取引先や官公庁を中心に配りました。社内外で好評で、当初配布していなかったOBや取引先からも所望されたり、図書館からも寄贈の依頼があるほどで、予想を超えてもうほとんど在庫が残っていない状態です。記録性を重視したものですが、きちんと読み込んでくださる方も多く、当社の150年間がどのような歩みであったのかということについて、ひとつの答えが出せたことはよかったと思っています。

普及版は社員全員に配布しました。「上組のイメージが変わった」「どんな仕事をしているかがよくわかった」と社員の家族からの評判も高く、社員のみならずその家族にとっても上組をより深く知ってもらうよいきっかけとなりました。その後の活用としては、具体的な業務内容が掲載されており、当社の事業が理解しやすいことから、リクルートや新入社員の教育に役立っています。

社史の編纂をご経験されて、どのような感想を持たれましたか。

資料収集や原稿のチェックなどを通して、会社の歴史について詳しく知ることができたことはもちろんのこと、取材の際に、普段は接点のない多くの社員の話を直接聞き、それぞれの仕事の詳細や仕事に取り組む姿勢などに触れることができたのは、貴重な経験でした。また、取材、原稿確認や資料収集などの作業にも協力的に応じてもらえて、非常に助かりました。会社全体の一体感があり、社員同士の連帯感を再認識できました。

様々な人の協力のもとでやっと社史が完成し、その成果が社史のそれぞれのページを形づくっているので、社員にとっても思い入れのあるものになったと思います。これら2冊の社史は、帰属意識や連帯感を高める役割も果たしてくれたように感じています。

お忙しいところ、ありがとうございました。

■株式会社上組

1867(慶応3)年、神戸で創業。業界初の単独コンテナターミナル運営に代表される港湾運送事業を軸に、通関業、倉庫業、自動車運送事業、更には数千トンクラスの貨物を運ぶ超重量物輸送など、あらゆる物流技術を駆使した総合物流事業を展開し、グローバルな物流コーディネーターとして活躍。
https://www.kamigumi.co.jp/

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