『時代を書きすすむ 三菱鉛筆120年』
読み手に楽しんでもらうには、作り手が楽しんで作るのが一番!
前100年史:A4判、159ページ、並製本(復刻版)
近20年史:A4判、148ページ、並製本
2006年10~11月発行 ※2分冊
三菱鉛筆株式会社 社史編纂プロジェクト 担当部長 平賀 誠 様
前100年史と近20年史を分冊にした理由は何かあったんですか?
今回の社史は近20年に限定したので、当初は前100年史を復刻し、この20年の間に入社した社員にだけ復刻版を配ろうという話だったのです。しかし、せっかく“創業120周年プロジェクト”として120年史を作成するのだから、そのとき、全員に2冊セットにして配った方が良いだろう、と。
どのような編纂体制で臨まれましたか?
当初は“プロジェクトチーム”として私のほかに数人いたのですが、みなさん「現業が忙しくて作業ができない」と。最初期にコンセプトや方向性を打ち合わせてからは、担当の非常勤役員が原稿チェックや相談にのってくれましたが、ほとんど私ひとりで作業を担当しました。
制作されるにあたってもっとも重視したのは何でしたか?
通常、せっかく配っても社史はなかなか読んでもらえない。以前うちでも80年史、100年史を発行したのですが、押入れの肥やしにしてしまっている人が多い。そこで、“読んでもらえる社史”、“手に取りたくなる社史”を目指しました。
近20年をまとめた沿革編を、プロローグ、担当役員による座談会と、社長インタビューで挟む構成になっていますね。
はい。当社の歴史をつづるだけではなく、まずはプロローグで社会や業界の20年を俯瞰で捉える。その次に各分野の担当役員のみなさんに集まっていただき、座談会形式で各分野の視点から当社のこの20年の流れを振り返る。それを踏まえて大きな出来事をテーマごとに、そして物語風にまとめた近20年史を読むと、より深く、より広く自社の歴史を理解できるのではないかと考えました。そして最後に社長にこの20年間を振り返ってもらって締めくくりにしよう、と。
社内のみなさんの反応はいかがでしたか?
配布直後から「面白い」「充実している」など、反応が次々と返ってきて胸が熱くなりました。特に写真を入れた「商品年表」は、社内にこのような形でまとめた資料がなかったので、大変喜んでもらえました。公に残る社史として内容の限界を感じましたが、従来より少しはみなさんに読んでもらえた のではないでしょうか。
最後に、これから社史を制作される方々にアドバイスがありましたらお願いします。
せっかく作るのですから、熱意を持って楽しみながら作っていただきたいですね。今回、従来とは一味違う社史を作らせてもらえたので、最初から最後までとても楽しかったんです。もちろん、苦労や悩みはたくさんありました。でもやっぱり楽しかった。読み手に楽しんでもらおうと思ったら、やはり作り手が楽しんで一所懸命に作らなければその気持ちは伝わらないと思います。制作が本格的に動き始めてから完成まで約1年。「楽しくやっても1年、つらいと思ってやっても1年。それならば楽しくやった方がいい」、そう思いました。
もうひとつはやはり“コンセプト”ですね。私の場合、スタート当初から「こういう社史にしよう」というイメージがはっきりあった。ですから、 どの作業も“理想形へ近づくためのステップ”と捉えられたんです。自分の思い通りのものが仕上がっていくのはやっぱり楽しいですよね。
ありがとうございました