『新光糖業50年の歩み』
工場が離れているからとあきらめず
みんなを巻き込んでいく工夫をいろいろ考えました。
A4判、112ページ、上製本 2006年11月発行
新光糖業株式会社 総務課長 上林佐智子 様
編纂を担当された本社と現場の種子島工場が距離的に離れていることによって、進行上ご苦労があったと思います。
遠いことによって作業がなかなかやりにくいということもありましたし、社史に対する取り組みに温度差がありました。 工場で原稿や校正を回覧してチェックしてもらうということについては、まず送るにしても時間がかかります。それに、なるべく忙しい工場の人たちに手間がかからないようにしないといけませんので、着いたらすぐとりかかってもらえるように、見てほしい人数分コピーをとり、修正点を色分けするとか気になる所に付箋を付けるなど、直接会って説明できない分、いろいろ工夫をしました。
工場のほうでは最初は自分たちがした修正指示の控えをとっていないといったこともありましたが、何度かやりとりするうち、本社の熱意をわかってもらえるようになりました。
社史というのは今すぐ役に立つというものではありませんから、どうしても現場では後回しになってしまいます。だから、ちょっと強引だと思われたこともあったかもしれませんが、何度も写真の撮り直しをお願いしたり、出張のついでに資料を調べてもらったり、「なんといっても社史はずっと残るのだから」といって皆さんにお願いしました。
ずいぶん古い資料や写真を掲載しておられます。どのようにして集められましたか。
OBの方に声をかけてずいぶん協力していただきました。写真を提供いただいただけでなく、丁寧に説明を付けてくださった方もありました。昭和30年代のまだ写真が今ほど手軽ではなかった時代のプリントやネガは、皆さん大切に保管しておられました。
それと親会社である新光製糖が平成6年に社史を制作した際に、その元資料や写真を一カ所にまとめて保管しておられたので、それを貸していただけて助かりました。おかげで、文章だけでなく写真でも50年という時間を感じることができる社史ができました。
掲載していない写真で、すごく歴史を感じさせるものがあり、使いたかったのですが、残念ながら事実関係がはっきりせず、使用できないといったこともありました。
資料編にいろいろなデータを掲載して、のちの参考になるよう工夫しておられます。
社史1冊見れば、全部わかるようにしたかったので、当社のデータだけでなく種子島でのさとうきび生産のデータ、業界のデータなども載せました。 出来上がって配布した際、同業他社の皆さんはこれらのデータを見て、当社の努力を理解してくださいました。客観的な数字で当社を評価していただけたので載せておいてよかったです。
ほかに印象的な思い出などありましたら教えてください。
最初のころに社長から、いいことだけでなくマイナスのことも載せていいとお聞きしました。例えば特許は取ったけれど役にたたなかったとか、事故のこととかですが、それを載せたことは社史として価値があったと思います。
また、外国も含め大学の資料室や図書館10カ所くらいから、社史を寄贈してほしいとのお問い合わせをいただきました。どこから当社が社史を発刊したことをお知りになったのかとびっくりしましたが、興味を持っていただいてうれしく思いました。
一企業としてだけでなく、業界のことも書いてあるので価値があると思っていただけたのでしょうか。一生懸命、資料をひっくり返し、データを調べた甲斐がありました。
これから社史を担当する方々に何かアドバイスがありましたらお願いいたします。
たいていの方は初めてでわからないことばかりのはずです。お願いする業者を決めたら、遠慮せずどんどん積極的に問い合わせし指示をお願いしていくことです。また、いまさらこんな資料を提出してもとか思わず、ぜひ利用してほしていといってみることです。 あとはほかの社員を巻き込んでいくことが大切です。当社の場合は工場が離れていることもあり、インターネットやメールもずいぶん利用しました。何度も写真を撮り直してもらっても、すぐに見て返事ができるので良かったです。 みんなで苦労してつくって、出来上がったときにみんなでよろこびたいですね。
ありがとうございました