『太洋株式会社50年史』
目次をきちんと組み立て、それにそって各部分を積み上げていくようにすれば、専門家でなくても社史を書くことはできるものですね。
B5判188頁、上製本 2003年9月発行
太洋株式会社 経理部 高橋慎一 様
こんなに長い文章を書かれたのは初めてだと思いますが、書いてみていかがでしたか。また、特に苦労された点、注意された点は。
全体としてみれば確かに長かったですが、見出し(トピック)ごとに全く内容の変わる場合が多く、実際のところ1つのトピックに付き長くても1200字程度だったと思います。
また、目次順に執筆したのではなく、書きやすそうな見出しから手をつけていったので、特に苦労は感じませんでした。目次をきちんと組み立て、それにそって各部分を積み上げていくようにすれば、専門家でなくても社史を書くことはできるものですね。
原稿執筆において注意した点は、予定文字数よりも長めに書く様に心掛けた事ですね。あとで内容や文章を訂正する場合、書き足すよりも削るほうがやり易いからです。
ご趣味でいろいろ文章を書いておられるそうですが、そういったものを書くのと社史との大きな違いはなんだと思われますか。
確かに文章を書くのは趣味の1つで、雑文を書き散らしていますが、歴史を編年体で書くという経験はこれまでありませんでした。社史の文章の一番のポイントは「結論」がないことではないでしょうか。歴史書では記録性や客観性の方が重要で、そこから何を読み取るかは読者の側に委ねられていると思います。
執筆中に考えたことは、自分の書いている文章が会社の歴史の決定版、言わば「事実」になるということです。1つの出来事にしても当時の社員ひとりひとり、その受け取り方は違ったと思いますが、社史を読む人にとっては自分の記述がその出来事の決定版として確定してしまうと思うとプレッシャーは大きかったですね。
資料が豊富で、むしろ切り捨てるのが大変だったとお聞きしています。その辺のご苦労を。
先に触れたように記録性と客観性を重視すると、どうしても無機質な文章になりがちで読んでいてつまらないのではないかと思えたので、出来るだけ当時のエピソード等を盛り込んだ文章を書くことを心掛けました。
しかし、執筆が進むうちに文章量が多くなり、かなりの部分を切り捨てざるを得ませんでした。削るならばエピソード的な箇所が犠牲になりがちで、執筆中の最大のジレンマになりました。
実際、工場の建設中に泥棒が入り当社の社員が逮捕に一役買ったなど、面白いエピソードがあったのですが割愛せざるを得ず、残念でしたね。
読んでくれる人に、どういったことを伝えたいと思ってかかれましたか。またこの辺のところをわかってほしいというところはありますか。
今回始めて会社創生期のことを詳しく記述することが出来ました。書庫の奥深くから会社設立時の資料を発掘したことや思わぬ人伝てによって新事実の発見があり、これまではっきりわからなかった創業時のことが詳述でき、より内容の濃い社史にすることが出来たと思います。50年も前の資料が綺麗に残っていたのには驚きましたね。
またこのような機会があったとすれば、してみたい工夫、アイデア等ありますか。
業務上のひとコマやエピソードを物語調に語る「太洋昔話」といったような物を製作してみたいですね。社内の人にしか分からない"内輪受け大爆発"のような物が出来れば面白いと思うのですが。
ありがとうございました