『70年のあゆみ』(A4判上製、324頁、平成11年12月発刊)のケース
日本信号株式会社 総務部広報担当部長待遇 野口正芳様
技術を理解してくれるライターを探すのが決め手
創業70年記念事業の一環として70年史の制作が決まったとき、まず重要なことはトップから一般社員まで全社一体となって進めることだと考えました。そこで、全社的に発言力のある常務、各職場の長を歴任し技術にも詳しく人望の厚い部長に編集委員会の両輪になっていただきました。部長には、兼任という形をとらず、専任ということにして、社史に取り組む姿勢を社内にはっきりと示したわけです。同時に、各職場の気鋭の方々に編集委員になっていただき、万全の編集体制を構築しました。
また、実際の作業をどのように進めるかということを、出版社のセミナーや、先行して制作中だった他社に教えを請い、実地に研究して臨みました。そのように主体性を持って70年史を検討し、編集方針を固めていきました。
当社では既に『50年史』を発行していましたので、創業からの50年は要約でまとめ、最近20年を経営編・技術編の2部構成、未来編では社長による抱負と展望、交通工学の権威者による特別寄稿、作家の山根一眞氏と社員の座談会でまとめるという基本構成を決めました。また全体としては「技術の日本信号」というコンセプトを具現化することに留意しました。
当社の歩みというのは、輸送・交通の技術的進歩と軌を一にしていますので、技術の変遷や開発の背景を正確に描写しないと会社の歴史が浮き彫りにできません。そこで、いかにそのようなライターを探し出すかということが大きなポイントになりました。
出版社と共同でそのようなライターを探すことにしましたが、数多いライターの中から幸いにも科学に強い、とくに新幹線を含めた交通制御にも関心の深いライターに巡り会うことができました。
ライターが決まった段階から、出版社と協力しながら全体のストーリーを作りあげました。それに従って、編集委員会でそれらの事項にふさわしい取材先を選定して部署ごとに資料提供や取材の依頼をしました。
実際の原稿制作では、我々の意欲や要望をライターがよく理解してくださり、大筋での問題はほとんど起きませんでした。その結果、内外に評判のよい「70年史」が完成し、編集者冥利に尽きる感激を味わうことができました。とくに技術面に評価をいただき、発行後2年たったいまでも参考にしたいという大学や関係機関からの問い合わせがあります。
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