こぼれ話 社史の納期は遅れる?
社史の納期は遅れる?
「社史って、大概は予定納期に間に合わないって聞きますけど‥‥‥」。数社に1社は、担当の方に顔を合わせて間もなく、こんなことを言われる。工程管理の大半を担う編集担当としては、思わず言葉に詰まる瞬間である。
確かに資料収集・整理や年表台帳(素年表)の作成など、社史には取りかかってみなければ手間がわからない要素が多い。当初設定納期より遅れる社史が多いのも事実である。
しかし、遅れるケースは、なぜか制作期間に比較的余裕のあるケースが多い。逆に1年を切るような短納期のものは、大半が納期通りに収まる。
理由は簡単で“絶対にこの日”というリミットがあればこその覚悟の短納期だからだ。つまり背水の陣‥‥‥退くに退けないという決意があれば、取組み姿勢も、取組み体制も違ってくる。意識の持ちよう、体制のつくり方次第で、納期の帰趨は大きく違うのだ。
だから、着手早々に冒頭のような科白を聞かされると、“早くも後退を想定している”後ろ向きの意識に、工程管理の責任者としては思わず言葉に詰まるのである。
それでなくても、2年、3年という制作期間の当初1年くらいは無限に時間があるような錯覚に陥りやすい。――油断大敵、まずは“遅れる可能性”は忘れて、気持ちよく、やる気満々でスタートしてほしいと、編集担当としては切に願っている。
(T・Y)