こぼれ話 熱が冷めると…
熱が冷めると…
社史を制作するためには、基礎資料集めから始まって印刷・納品まで通常1年半〜2年くらいの期間が必要だ。もちろん出来上がりのボリュームにもよるが、期間が長すぎるのは、必ずしもよくない。
よいものをつくるためには、いろいろな条件が必要だが、その基本として、担当者間によいものを作りたいという熱意が保たれることが必要だ。
数年前に担当したある会社は、当初周年パーティに合わせて作成し配布したいということで、その3年前にスタートした。ところが半年前になっても原稿内容でもめていた。仕方がないので、そのパーティの写真まで入れて、発刊しようということになった。ところが、周年を期に社長が交代した。社史制作の基本方針も変わり、ほぼ固まっていた原稿をまた大幅に手直しした。そのため期間が延びたので、資料編のデータや年表も最新のものを付け加えてやり直した。そうこうするうち、編纂委員長が定年退職となった。
当初あった後世に胸を張って残せる良いものを作ろうという意気込みはだんだん薄れていき、いつでもいい、とにかく形になりさえすればいいというようになった。
熱意が少しずつ拡散していき、何度もやり直しをした割りには、平凡な本に仕上がった。
社史制作だけではない。何事も当初の熱意を持って走り続けることはとても難しい。 (宮本)