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表紙

『株式会社柳屋本店 400年史』

過去400年を振り返り、初めて制作する社史。山あり谷ありの当社の歴史を社員が正しく知ること、創業から積み重ねてきた先人の努力と知恵の結晶を記録として残し、次の100年を担う代へのバトンとして手渡すことを目的に制作いたしました

A4判 144頁 並製本 2015年11月発行

株式会社柳屋本店
取締役 経営管理室 室長 永沼健一様
営業推進室 室長補佐 飯島秀晴様

初めての、しかも『400年史』となる社史を制作するに至った経緯をお教えください

完成社史

永沼:創業400周年に社史を発刊するであろうことは10年前から意識していました。記念式典を催すことが決まってからは、そこで来賓に配布することを意識して社史制作に取り組みました。

400年という時代をさかのぼるには、ご苦労も多かったことと思います

永沼:特に江戸から大正にかけての柳屋の歴史をたどるには、社内にほとんど記録は残されていませんでしたので、外部の記録や資料に頼らなければなりませんでした。またその後の資料も所在がバラバラであったため、社史編纂室をつくってから一気に集め、系統立てて分類、整理しました。

資料収集中には大きな発見もありましたね

永沼:ボストン美術館に所蔵されている浮世絵で、菊川英山作「江戸砂子香具屋八景 柳屋の歸帆」に、柳屋が描かれているのを見つけました。

飯島:驚きました。江戸時代に描かれた浮世絵に、今も変わらぬ柳屋のロゴマークが描かれている・・・、本当にその時代に存在していたんだとリアルに感じられて、高揚しました。

大正時代に作られたカタログも貴重な資料ですね

完成社史

永沼:国立国会図書館に残っていた記録です。「おつくりの栞」という名で、今でいう商品カタログを明治時代、大正時代に作って配布していたようです。以前見つけた資料ですが、今回の社史に合わせて複製し、付録にしました。この栞の中に創業から大正までのなりたちが書かれており、当社のルーツの諸説の中でも信憑性が高い貴重な資料になっています。

飯島:この頃すでに通信販売を手掛けていたわけですから、ハイカラで斬新な会社だったのだろうな、ということが想像できます。

制作上、企画や構成などで意識された点、苦労された点などはありましたか?

完成社史

永沼:来賓への配布を前提にしていましたから、ある程度のクオリティが必要だと考えました。とはいえ、装丁が立派過ぎる「置物」になるようなものは避けたいと思いました。また、歴代役員や社屋の外観をひたすら並べる記録中心ではなく、柳屋の歴史本として読めるものを作ろう、という方針で制作を始めました。400年という歴史がありますから、構成は当然、時系列に事実を追うことになります。ところが途中で、流れを追うだけではつまらない、と感じるようになりました。

飯島:調査を重ねるうちに、いかに自社の歩みを知らずにいたか、勘違いをしていたかを思い知りました。特に戦後は、文字通り山あり谷ありでしたが、その経緯を知らない社員がたくさんいることにも気付いたんです。

永沼:会社の危機的な状況やそこからの復興の軌跡など、知られざる逸話も社員は知っているべきだ、そのための社史にしよう、と軌道修正を図りました。

飯島:谷に在る時も、その当時の社員は会社のために力を注いでいました。残念ながら「成功事例」とはならなかった事業も、それをなかったことにしたり、失敗として片付けたりするのは違うと思いました。隠したいことも隠さずに前に進み続けることができるから、わが社は強い、息の長い会社なんだということを、今の社員に知ってもらいたいと考えて、一から構成を考え直したんです。

永沼:レイアウトや写真の使い方も、読みやすさや強弱、更に統一感を大切にしようと思いました。そのため当初の構図を変更し、スケジュールを大幅に狂わすこととなりましたが、納期間際にはチーム全体が「満足のいく仕事をしよう」という機運で盛り上がったことを覚えています。

社史完成後、制作を振り返って感じられたことや、社内外の反応などお聴かせください

永沼:老舗ならではですが、現役世代が知らなかった事実も色々と掘り起こせたことで、社長からは勉強になったと言葉をもらいました。少し砕け過ぎたかと危惧もしていましたが、それが逆に読みやすかったと、取引先等からもお褒めの言葉を多数いただきました。納品までずいぶんハラハラしましたが、仕上がりにはとても満足しています。

今後社史制作をご検討の方々にアドバイスがございましたら、お聴かせください。

完成社史

永沼:社史制作の目的を途中で方針転換をせざるを得なくなってしまった点は反省しています。「何のために」「誰に対して」「何を伝えるのか」、できるだけ早い段階でぶれない軸を作ることが大切だと痛感しました。

飯島:意識しておかなければならないのは、「許諾」の問題です。関係会社についての描写や登場人物の許諾について、あらかじめ意識して企画、構成されることをお勧めします。当社では広告の記録を掲載するにも、タレントの肖像権をクリアする必要がありました。

永沼:マメな記録と資料の保管は、後の人の負担を軽減します。今回、資料収集にあたっては、関連会社の記念誌や社内広報誌、退職された方の寄稿文にずいぶん助けられました。当時の雰囲気を知るためにも、社内報などはデジタルアーカイブとしてでも残しておいた方がよいでしょう。社史制作は、社に在籍中に一度あるかどうかといった記録的な事業であり、長いスパンでの作業になります。資料の収集、整理など少々面倒なことに手を付けずにいると、あっという間に必要なタイミングが迫ってきます。プロに任せるところは力を借りながら、社員でなければ為し得ない作業に集中して、ぶれない軸を持ってゴールを目指していただくのがよいのではないかと思います。

お忙しいところ、ありがとうございました。

■株式会社柳屋本店 プロフィール

1615(元和元)年創業。植物由来原料を中心としたヘアケア製品の製造メーカーで、柳屋ポマード、柳屋ヘアトニックは一世を風靡し、今なお多くのファンに支持されている。2008年発売のあんず油が、若い女性に大人気。

https://www.yanagiya-cosme.co.jp/

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